つながりに時間を使う

社会における人間関係の大切さを表す、社会関係資本という言葉を初めて使ったのは、19世紀末のジョン・デューイですが、今日、一般に使われる定義は、高名な政治学者ロバート・パットナムによるもの。

パットナムの言う社会関係資本とは、コミュニティにおける人と人とのつながりであり、そこに存在するお互いに与え合い、協力し合う関係と、その関係の中に存在する互いへの信頼と違いに対する寛容のこと。そして、社会関係資本を構成する実質的な要素は、家族、友人、近隣などの社会的ネットワークであると考えられています。

パットナムは、この社会関係資本が個人の主観的な幸福度に大きく関係すると述べました。そして、近代国家では、社会関係資本は減少する、とも。その後の研究でも、社会関係資本は、個人の幸福を左右することがわかっています。

しかし、

OECDの調査によれば、友人と仕事仲間、その他のコミュニティとほとんど付き合わない人の割合が、日本は加盟国中トップ。また、イギリスの研究では、日本の社会関係資本の強さは、世界149ヵ国中101位とされています。

さらに、

年金シニアプラン研究所のサラリーマンの生きがいについての調査では、友人仲間との交流や、近隣との交流に満たされているという回答は、1986年の調査開始以来一貫して減少しており、自由時間の過ごし方としては、一人で趣味などをする、と、何もしない、が年々増加。逆に、自由時間の仕事仲間とのつきあい、友人とのつきあい、家族団らんなどは、いずれも減少しています。

さらに、人との関係を大切にするか、という質問については、あてはまらない、が激増しており、家族の理解・愛情についても満たされている人は減り、欠けていると答えた人が増えてきています。

残念ながら、日本社会においても人間関係は希薄化しつつある、と考えられそうです。

そのためなのかは明らかではありませんが、同調査で、生きがいを感じていると答えた人は、半数以下の43.6%しかいませんでした。

また、国連の世界幸福度調査では、日本は毎回50位くらい。先進国の中では破格の順位の低さです。

ネットなどで人間関係についてちょっと検索をかけると、人間関係に優先順位を、とか、人間関係を断捨離する、だとか、あるいは、ビジネスで役に立つ人間関係の作り方、だとか、人とのつながりを役に立つかどうか、だけで判断するものも目につきます。

しかし、私たちの幸福に影響があるのは、経済的な豊かさよりも、豊かな人間関係です。最近では、孤独を勧めるような本も流行ったりしていますが、人間が人間である限り、人とつながることなく、幸せであることは困難です。シニアの健康調査でも、孤独に対して本人がどのように評価するかとはかかわりなく、孤独な人は、健康を害しやすいことも明らかになっています。

私たちは、もっと人間関係に時間を使うことを、大切にした方がいいかもしれません。

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