ステレオタイプに注意!

クライアントさんの一人が、かつて、腰が痛くなったとき、医師に「年なんだから仕方ない」と言われたとか。こういう心無い言葉は、聞き流せばいい、とは思うのですが、ステレオタイプなイメージと結びついた言葉の影響力は、意外と大きいもののようです。

ニューヨーク大学のジョン・バークらは、高齢者のステレオタイプなイメージを活性化させると歩行速度が遅くなる、という実験を行いました。

言語の流暢性調査という名目で、被験者たちは、ばらばらの言葉を文章にする実験を行ったのですが、その際に、別の実験によって選ばれた、年長者のステレオタイプに結びつく言葉「心配している」「注意深い」「頑固」「賢い」「忘れやすい」「退職」「伝統的」「孤独」などが含まれたグループと、そのような言葉を取り除いたグループで、どのような影響があるかを調べたのです。

すると、前者の、年長者のステレオタイプなイメージを表す言葉を扱った人たちは、後者の、中立的な言葉を扱った人達と比べ、文章を作成した後の歩行速度が有意に遅くなりました。

なお、単語の中に、「遅い」を表す言葉は取り除いてありました。

実験終了後のインタビューで、そこに含まれていた言葉が、年長者のステレオタイプをイメージさせるものだったと気が付いた人はいませんでしたし、もちろん、それによって、歩行速度が遅くなったことも、誰もまったく気が付いていませんでした。

この実験の被験者は大学生であり、年長者が対象ではありませんでしたから、なおさら、ステレオタイプなイメージが強かった可能性はあります。

しかし、ステレオタイプなイメージにさらされた当事者の行動の研究は、実は数多くあり、特に有名なのは、女子学生と数学能力の実験です。

オハイオ州立大学のスティーヴン・スペンサーらは、あるグループには「この数学のテストはこれまで女性の点が低かった」と伝え、別のグループには、「この数学のテストは性差による点差はなかった」と伝えました。

すると、「女性の点が低かった」と伝えたテストでは女性の得点は男性よりも下がり、「性差がなかった」と伝えたテストでは、点数に性差はありませんでした。それだけでなく、点数に性差があったともなかったとも伝えず、テストを受けさせたグループでも、女性の点は下がっていました。つまり、テスト前の教示がなくとも、女性は性差による数学能力の差について、ステレオタイプなイメージの影響を受けていることまで明らかになったのです。

年長者について、このような実験は私の知る限りありません。しかし、日常的にネガティブな情報にさらされていることで、その影響を受けている可能性は高いのではないでしょうか。

私たちの行動は無意識の影響を強く受けます。加齢による変化や、年長者の行動について、ネガティブな情報に触れ、ネガティブなステレオタイプを活性化することが、私たちの行動をネガティブな方向に変化させている可能性は高いのです。

ですから、なるべくポジティブな側面に目を向け、ポジティブな情報に接することを心掛けてみてはいかがでしょうか。そのこと自体が、私たちの加齢をポジティブなものにしてくれるかもしれません。

Follow me!

生きがいづくりセミナー無料ご招待中

生きがいがあれば、もっと健康で幸せになります。生きがいをみつけ、生きる意味を感じて、あなたももっと楽しい毎日を過ごしませんか?ただいま、無料ご招待中。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です