レアかウェルダンか
「焼き加減はいかがいたしましょうか?」
ステーキの話である。
血の滴るようなレアが好きな人
赤いのは苦手な人
あなたはどちらだろう?
ちまたでは、レアの方が、
熱によるタンパク質の変性がなく、
栄養がすぐれている、
という説もある。
しかし、
タンパク質の熱変性は、
栄養価を下げるわけではない。
タンパク質の構造が変わっても、
アミノ酸組成は変わらないからからだ。
なかには卵などのように、
熱変性によって吸収率があがるものもある。
その一方で、
硬さについていえば、
レアよりもウェルダンは
肉が硬くなるのは間違いない。
しかし、
肉を切断するとき必要な力は、
ウェルダンの方がやや低い。
レアの方が柔らかいが
噛み切りにくいわけだ。
歯が弱ってきたり、
あごの力が落ちるなど、
噛み切る力が弱くなったら
ウェルダンの方がいいということだ。
噛み切りやすさ以外にも、
70歳以上の方にとっては
ウェルダンの方がよい理由が
もう一つある。
フランスのクレルモン・オーベルジュ大学の
Caroline Buffièreらの研究によると、
70-82歳の10名を対象に、
55度で5分調理した肉を食べた場合は、
90度30分調理した肉を食べたときより、
食後のタンパク質の消化と利用率が
下がるということらしい。
(https://academic.oup.com/ajcn/article-abstract/106/5/1257/4822330)
ちなみに若い人の場合は差が出ないとのこと。
ここまできくと
シニアがステーキを食べるときは、
ウェルダンにするのがよさそうだが、
ウェルダンを食べると
高血圧となりやすい、
という研究もある
これは肉が焦げたときにできる
有害な化学物質の影響らしい。
そういえば、昔から、
肉の焦げたのはがんになる
なんてことを言う人もいる。
…なんていろいろ考えていると
あたまが痛くなりそうなので、
結局は、好みで選ぶのが一番、
なのだろう。