筋トレで動脈硬化

皆さんは筋トレはしていますか?

加齢とともに、筋肉の合成力が下がります。ですから、十分なタンパク質と適度の運動をしないと筋肉量が減少します。このとき足腰の筋肉が減少しやすく、放置すると、歩く、立つなどの基本的な動作に支障がおきます。

ですから、筋肉をきちんと使い、鍛えることはとても大切ですが、だからといって、やみくもに筋トレを行うこともおすすめできません。

スポーツクラブなどで、真っ赤な顔をして、くずれたフォームで、無理やり重い過重をかけてトレーニングをしている人もいますが、これは大変危険です。

フォームの崩れは効果がないばかりか、怪我につながりますし、

息を止めて力むと血圧が上がります。(怒責といいます)ロマリンダ大学のナーロックらは、怒責によって最大311/284まで血圧が上がった事例を報告しています。ですから、まずは筋トレ中に息を止めて力むことは避けなければなりません。

しかし、それだけではなく、

高強度の筋トレを続けると、動脈壁が固くなることが明らかになっています。

国立健康・栄養研究所の宮地元彦らの調査でも、筋トレ習慣のあるグループと筋トレ習慣がないグループで
比べた結果、筋トレ習慣のあるグループは、動脈が硬いことがわかりました。

また、同じく宮地らの研究で、20~38歳の健康な男性が、最大筋力の80%の筋トレを4か月行ったところ、明らかに動脈壁が硬くなり、その後、4か月間トレーニングを中止すると元に戻りました。同様の結果が、その後のいくつかの研究で確認されています。

以前にも述べたように、動脈硬化というと一般にアテローム性動脈硬化という病名を指すことが多いのですが、動脈壁の硬化自体も心臓の負担を高め、血圧を上げ、動脈硬化のリスクを上げます。

このように、筋トレにはリスクがあることは事実ですが、ある程度の年齢になったら筋トレ自体はとても大切で、場合によっては必要なことも事実です。

ですから、

(1)強度を上げ過ぎないこと

10回ぎりぎりできる程度の強度が、筋肉を増やすには効果的と言われますが、もっと強度を下げて、回数を増やすことでも筋肉が増えることがわかっています。(なお、スクワットなどの運動程度では、動脈壁が硬くなることはないと考えられます。)

(2)有酸素運動やストレッチを併用すること。

有酸素運動やストレッチは、動脈壁を柔らかくします。できれば両方がおすすめ。筋トレをしてから行うのが効果的です。

(3)生活習慣の改善

筋トレをするかしないかに血管によい生活習慣を取り入れたいもの。

睡眠時間を十分に確保し、バランスのよい食生活、活動的な生活、上手なストレス対策、など健康的な生活は、動脈硬化に限らず、すべての基本ですね。

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