サクセスフル・エイジングと生きがい

今から30年少し前に、アメリカのジョン・ローとロバート・カーンがsucessful agingという考え方を唱え始めました。

これは、「幸福な老い」などと訳されることもありますが、対応する日本語がないので、日本でも、カタカナでサクセスフル・エイジングという言葉が使われます。あえて「成功した」と直訳しないのは、成功の反対が「失敗」という言葉になってしまうことを恐れてだと思います。たとえ病気で苦しもうと、失敗した人生なんてものはないわけですから。ちなみに、英語では、successful agingに対応させて、usual agingを使うようです。

このサクセスフル・エイジングは、今まで加齢を一方的にネガティブなものと考えていたことに対して、加齢におけるポジティブな側面にも注目する考え方です。

それまで、何でもかんでも加齢によって衰える、として片付け、加齢=衰退の過程、と考えてきたことを、必ずしもそうではなく、生活習慣や運動や栄養など具体的な問題を見極め、それに対してきちんと対応することで、もっと可能性に満ちた幸せな加齢がある、というのです。

具体的な中身については、統一的な見解が実はまだないのですが、

1 長寿健康
2 生活の質が高いこと
3 社会貢献

の3点を含むものが多いようです。

このうち、1の、健康で長生きであることは、従来からの良い年のとり方そのもの。

また、2の、生活の質が高いことは、自分の人生や生活を満足いく形で過ごせる、ということであり、これも近年では常識的な考え方になりました。現在では、どこの施設でも訓練などによって生活動作の機能を維持することばかりを重視するのではなく、その人その人の生活の質を高めることを重視するようになっています。

そして、3の、社会貢献は、他者のために活動ができること。人間は、一方的に与えられること、保護されることによっては、生きる喜びを感じられない、という考えに基づいています。

2と3でいう、人生や生活に満足できて、社会に貢献できる、ということは、究極的には、自分のやりたいことと自分の使命が一致し、そのために生きる、ということになるわけですが、これはまさに、神谷美恵子さんのいう最高の生きがいそのものです。神谷美恵子さんは、感情としての生きがい感について、「何かに向かって前進している、と感じる中での苦しみも含んだ喜び」と考えています。そして、その前進が、自分の本質的なあり方に向かうものであるとき、言い換えれば、それが使命と一致しているとき、最高の生きがいになると考えたのです。

さて、

サクセスフルに年齢を重ねるためにはそれなりの戦略が必要になります。健康に気を遣うこと、からだによい食事や、適度な運動などは、当然のこととして、自分の生きがいについて考えることも、大切な戦略の一つです。

多くの人は、青年期には自分の生きがいや生きる意味について考えますが、その後は、特別なきっかけがない限り、あまり考えることはありません。しかし、サクセスフル・エイジングのためには、再度、生きがいについて立ち止まって考える必要があります。

なぜなら、生きがいには人生を統合する働きがあるから。

「自分は何を喜びとするのか?」「自分の存在は何のために必要なのか?」「自分の生きていく目標は何か?」これらを見定めることで、私たちの人生と人格を完成させるための方向が定まります。

若年者には若年者の人生の課題があるように、年長者には年長者の人生の課題があるのです。

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