加齢で速筋が遅筋に変わる

最近はテレビなどでも、筋肉には速筋と遅筋という2種類がある、ということが聞かれるようです。ただし、正確には、速筋という筋肉や遅筋という筋肉があるのではなく、筋肉の構成要素である筋線維に、収縮速度の速い速筋線維と収縮速度の遅い遅筋線維があるわけですが、この二つは細胞レベルで混ざって、筋肉を構成しています。筋線維だけを取り出しても、なかなか肉眼では判別が難しく、特殊な染色法で色分けして判別します。

速筋線維は大きな力を出し、遅筋線維は持久力に優れている、ということも、聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

ですが、速筋線維が、加齢によって遅筋線維に変わることはご存知でしょうか。

速筋線維と遅筋線維は、ミオシンの構造が異なっているのですが、この構造的な違いよりも、決定的なのが、筋線維につながる神経。

もともと、筋線維は、神経(運動ニューロン)がつながり、そこから指令が届くことで動きます。一つの神経は枝分かれして、いくつかの筋線維につながり、支配しています。

この神経には、速筋支配の神経と遅筋支配の神経があります。筋芽細胞が筋線維になるときに速筋支配の神経につながれば、速筋線維になりますし、遅筋支配の神経とつながれば、遅筋線維となります。

さて、運動をしない人の場合、筋肉を支配する神経も不要のものとして減少します。ある神経が死んでしまうと、それまで、その神経につながっていた筋線維には、あらたに別の神経からニューロンがつながります。

この新たにつながった神経が、速筋支配の神経であれば、遅筋線維だった筋線維も速筋線維になり、逆に、新しい支配神経が遅筋支配の神経であれば、速筋線維だった筋線維も遅筋線維に変わります。

そして、特に運動していない年長者の場合、立つ、歩く、座るなどの日常生活動作では、大きな力を発揮する機会はほとんどなく、速筋線維は減少しますが、速筋支配の運動神経も、遅筋支配の運動神経よりサイズが大きく、必要なエネルギーも大きいため、先に減らされます。

こうして、生き残った速筋線維にも、遅筋線維に変わるものが出てきます。その結果、速筋線維はますます減少するのです。

加齢によって速筋線維が減少することが、動作がゆっくりになる原因、ともいわれます。また、バランスを崩したときなど、とっさのときに、力を出せなくなります。

日常生活でよく使うのは遅筋線維ですが、元気に年を重ねるためには、速筋線維を減らさないように心がけることも大切です。無茶な筋トレは無意味ですが(というか、危険)、適切な強度で筋肉に刺激を与えることは、元気に過ごすためにも重要なことです。

軽いトレーニングを上手に取り入れて、より一層、元気なエイジングを実現してくださいね。

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