遅筋を鍛えて基礎代謝アップ?

ある方から、 「遅筋を鍛えるとやせるんでしょう?」と尋ねられました。有酸素運動でやせる? ということかと思ったのですが、そうではなく、筋トレで遅筋を鍛えると、基礎代謝があがる、 という情報をネットで目にした、ということでした。 

突っ込みどころが多すぎて、 何から説明したらいいのか、めまいを感じつつ、、、 気を取り直して、一つずつ説明しました。 似たような記事をみて混乱している方がいらしたら、 ぜひ、以下を読んでみてくださいね。 

(1)遅筋を鍛える? 

言葉じりをとらえるようですが、まず、遅筋を鍛える、って言い方が、誤解しやすい言い方です。 遅筋速筋という言葉はよく使いますが、 本来、遅筋だの速筋だのいう筋肉があるわけではありません。 あくまでも、筋肉の中の筋線維として、 速筋線維と遅筋線維があるわけです。 

そして、これは通常、分子レベルで混在しているのですが、中には、遅筋線維が多い筋肉もあります。遅筋を鍛える、というのが、このような筋肉を鍛える、という意味であれば、具体的には、ヒラメ筋や前腕などを中心に鍛えるということになるのですが、これらの小さな筋肉を鍛えても基礎代謝は上がりません。 

(2)遅筋線維を鍛える? 

そこでこの発言を、筋肉中の遅筋線維を鍛える、と解釈してみましょう。

遅筋線維は、主に、酸化によるエネルギー代謝を行います。一方、速筋線維は、解糖系と呼ばれる無酸素のエネルギー代謝を主に行います。一つの筋肉の中に、遅筋線維と速筋線維は両方含まれていますが、弱い力を発揮するときには、エネルギー効率の高い遅筋線維が動員されます。そして、強い力が必要になるにつれ、速筋線維も動員されるのです。 

つまり、遅筋線維を鍛えたいのであれば、弱い力の運動を続けるのがよいのですが、その場合、疲れきるまでやらないと「鍛える」ことにはなりません。 

そして、このように遅筋を鍛えることで、遅筋のエネルギー効率は向上します。少ないエネルギーで、ますます効率的に動けるようになるのです。基礎代謝はやっぱりあがりません。 

(3)筋肉が増えればやせる? 

重要なことは、遅筋線維は簡単に肥大化しない、ということです。筋肉量が増えなければ、筋肉量に由来する基礎代謝の上昇もまたありえない、ということになります。 

もちろん、日常動作で使う筋肉を使うことで、結果的に、動作が活発になり、そのために消費エネルギーが増える、ということは十分ありえます。(もはや基礎代謝は関係ないですけど。) 

そもそも、遅筋速筋に限らず、筋肉量を増やして基礎代謝をあげる、ということ自体が、そんなに簡単ではありません。 

比較的肥大化しやすい速筋線維であっても、1㎏増やすためには、それなりのトレーニングが必要です。そして、筋肉を1㎏増やしたときの基礎代謝の上昇は一日約13キロカロリーしかありません。

ただし、筋肉が増えれば、内臓もそれに比例して肥大化するといわれており、そうした内臓の肥大も考慮すると、1㎏あたり一日50キロカロリーの基礎代謝の上昇になるという計算もあります。この場合、他がまったく同じ条件であれば、だいたい150日くらいで、1㎏脂肪が燃える、という計算になります。 

これを多いとみるか、少ないとみるかは人それぞれですが、筋肉をアップしたから、すぐにやせるわけではない、というのは確かです。 

(4)まとめ 

「遅筋を鍛えると基礎代謝があがってやせる」という説が、突っ込みどころ満載なのはわかっていただけたでしょうか。ただ、それ以上に困るのが、この説は荒唐無稽でありながら、結果的には、望ましい方向を示している点です。 

ふだん運動をしていない人には、遅筋線維を刺激する程度の軽い運動でも、十分な刺激となりますし、軽い運動であれば、からだの負担も低く、継続しやすく、それがきっかけで、より活動的な生活になる機会にもなります。 

基礎代謝を上げる、などという方法論にとらわれることなく、健康的な生活をすれば健康的なからだになる、という常識的な判断こそがもっとも大切な気がします。 

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