プロテインは体に悪い?

医学博士の牧田善二氏が、著書『医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』の中で、プロテインパウダーの危険性を訴えていらっしゃるそうです。

ダイヤモンド社の書籍オンライン上でその一部が公開されています。

プロテインの実際を知らない医師が思い込みで書いた、
という印象の記事ですが、
こういった説は定期的に出てくるものであり、
惑わされる人がいるとも限らないので、
ダイヤモンドオンライン上で
確認できる内容に限り、コメントしておきます。

なお、問題の記事は、
https://diamond.jp/articles/-/145387

さて

牧田氏の主張

まず、牧田氏の主張をまとめると、

タンパク質に含まれる尿素窒素などの毒素は
腎臓でろ過されなければならないものである。

パウダータイプなどのプロテインやアミノ酸などは
自然な食品とは比べ物にならないほど
大量のタンパク質が含まれている。

このような人工物を摂取することは、
腎臓に負担を与え、疲弊させ、重大な被害を生みかねない。

一方、自然の食品であれば、
タンパク質の過剰摂取は起こらない。

自分の患者にも、
パウダータイプのプロテインを摂取して、
腎機能を示す「尿アルブミン」の数値が
いきなり悪くなった人がいる。

以上のようなものですね。

 

タンパク質の大量摂取の問題点

まず、前提を整理しましょう。

いわゆる三大栄養素というのは、
炭水化物、脂質、タンパク質ですね。

このうち、

炭水化物と脂質は、
私たちの体の中で最終的に
二酸化炭素と水に分解されます。

吐く息や汗になって出ていくイメージですね。

しかし、

タンパク質は窒素を含んでおり、
アンモニアを作り出します。
このアンモニアは有毒なので、
肝臓で尿素に変えられます。

最終的に、この尿素を排泄するのが
腎臓の仕事になります。

腎臓の仕事は、
血液の中の尿素をふるいにかける
イメージです。

ですから、

タンパク質を過剰に摂取すると、
肝臓と腎臓の仕事が増えるわけです。

こうしたことから、
腎臓に障害がある方には
低タンパク質の食事が
すすめられているわけです。

一方、健康な人にとっては、
通常の範囲のタンパク質の摂取は問題ありません。

 

牧田氏の誤りについて

1)プロテインは人工物?

まず、牧田氏は、プロテインパウダーについて、
人工物であるからよくない、と主張されます。

ですが、

プロテインパウダーの原材料は牛乳や大豆であり、
プロテインそれ自体は人工的なものではありません。

つまり、サトウキビから抽出した砂糖のようなものです。

アスパルテームなどの人工の甘味料は
人工的につくられたものだからよくない、
という意見は意味が通じますが、
砂糖は人工の甘味料だからよくない、
という意見は意味が通じません。

この時点で、プロテインのことを
ご存じないのかな、と思うのですが、、、

もしかしたら、牧田氏は、
人工的に精製されたもの、
と言いたかったのかもしれません。

確かに、

砂糖にしても、
プロテインパウダーにしても
人工的に精製されたものです。

精製されたものだから
過剰摂取の危険がある、
というのであれば、
意味は通ります。

2)プロテインパウダーによって摂取するプロテインの量

結局のところ、問題は、
プロテインパウダーを摂取すると
(肉などと違って)腎臓に負担があるほど
大量に摂取してしまうか、否か、
になるわけです。

これについて、牧田氏は
「自然な食品からとる分には過剰摂取にはなりません」
と断言し、
プロテインパウダーなどでは大量に摂りすぎてしまう、と述べています。

では、実際に摂取するタンパク質の量を考えてみましょう。

通常の肉の場合、
バラ肉かササミかなど
種類によって異なりますが、
一般的に100g中、15~20gがタンパク質です。

一方、プロテインパウダーは、
これも製法や種類によりますが、
ごく一般的なものだと
100g中、80gがタンパク質。

これだけみると、
牧田氏がプロテインパウダーを大量のタンパク質、
と考えてしまったのも無理はないですね。

ただ、実際の摂取量ですが、
ボディビルダーなどを除いた一般人が
一回に摂取するプロテインパウダーは、
通常、20g~25g。
その中に含まれるたんぱく質は15~20gです。

つまり、

100gの肉を食べるのと大差ないわけです。

ちなみに、推奨されるタンパク質摂取量は、
運動しない人で体重x0.9(g/kg)
つまり、体重50㎏の人で45g、60㎏の人で54gです。

人間の体は、常にタンパク質の合成と分解を行っており、
運動しない人でも一定の分解は進んでいます。

それを補う量が、このたんぱく質の量ですので、
運動している人は、もう少したくさんのタンパク質を
摂取することが勧められます。

仮に、ある人が、朝プロテインを飲み、
昼は食事で肉を100g摂取、
夕方運動前にプロテインを飲んで、
そのあと、夕食で肉を100g摂取したとしましょう。

これで20x4=80gのタンパク質を摂取しています。

筋トレ中心に運動をしている場合、
タンパク質量は体重x1.5~2.0(g/kg)が
勧められています。

体重60㎏の人であれば90gから120gです。

結論

いかがでしょうか。

プロテインを一日どのくらい飲むか、
どのような運動をしているか、
によって、異なることですが、

少なくとも、

「プロテインパウダーを使っているから
タンパク質の過剰摂取になる」
とは
言えないことがわかりますね。

もちろん、

通常の食事で栄養を摂取することが
理想なのは間違いありません。

しかし、

毎食、肉や魚をしっかり食べるのは、
意外と大変です。

また、食品でタンパク質を摂るためには、
脂肪なども、それだけ多く摂取することとなり、
難しい方も多いかと思います。

このように、通常の食事では不足する分を
プロテインパウダーで補うのは、
決して体に悪いわけではありません。

 

補足

尿アルブミン値が高かった患者さんについて
牧田氏が書いていますが、
それは実際にあったことなのでしょう。

ただ、

それが果たしてプロテインパウダーのせいだったのか、
実際のところはわかりません。

正直、思い込みだけでプロテインのせいに
してしまったのではないか、と気になります。

ところで、

人によっては、尿素サイクル異常を持つ場合もあります。

この場合、肉を少し食べたくらいでは問題なくても、
食生活を改めて肉を増やしたり、
プロテインを飲み始めたりすると、
一気に具合が悪くなることがあります。

肉をたくさん食べるとだるい、とか、
プロテインを飲むと調子が悪い、
とか、感じたら、気を付けてくださいね。

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