私の手元に一枚の色紙があります。

ある施設を退職するときに、
利用者の方々が一言ずつ、
書いてくださった色紙です。

たくさんの利用者の方の中に、
元タクシーの運転手さんがいらっしゃいました。

その方は、最初、いつも機嫌悪く、
何かと文句ばかり言っていました。

皆が集まって何かをやっていても、
決してその中に入ることなく、
人の悪口をわざと大声でいい、
気に入らないことがあると
癇癪をおこしていました。

私は、そんな彼のことが
気になって、
彼の悪口を笑い飛ばし、
彼の昔の話をいろいろ聞き、
へたくそなギターを弾いて、
彼が好きな歌を一緒に歌いました。

そして、いつのまにか、
彼にも笑顔が見られるようになり、
皆の中にも入ってくるようになりました。

その方は、私が退職するとき、

岸さんに会って、自分は人生を
新しく生き始めた

とまで言ってくださいました。

あれから十何年かたってしまいました。

あのとき、私は、
彼が不機嫌な理由が
よくわかっていなかった。

困った人だな、と思いつつ、
それを受け入れる自分を
誇らしく思っていました。

でも、

昨日まで仕事をばりばりして、
自分の思うとおりに生活していたのに、
からだが動かなくなり、
人の力を借りなければ移動も困難となり、
施設で過ごさなくてはならなくなった日々、

そんな日々を受け入れるまで、
どれほどの葛藤があったことだろうか、
と今にして思います。

そして、

彼は、私のおかげと
言ってくれたけれど、

本当にすごかったのは、
彼が自分の運命を
受け入れたことであって、

私は、たまたま
そこに居合わせたにすぎないこと、
今になって、わかります。

そして、

彼が変わったことを
自分の手柄のように思ったこと
恥ずかしく思います。

でも、

彼が自分の運命を
受け入れたこと、
それは素晴らしいことだったけれど、

その過酷な運命に
意味がないとは思わないけれど、

それでも、
もし、彼がずっと元気でいれたなら、
どれだけ幸せだっただろう、
と思うのです。

彼だけでなく、
私が出会った方たち

当たり前の日々を
ある日断ち切られ、
からだの不自由に苦しみ、
病に苦しんだ人々、

その苦しみに
意味がないとは思わないけれど、
もし、ずっと元気でいれたなら、
うれしかっただろうな、
と思わざるをえないのです。

これを読んでくださっているあなたは、
今、何歳でしょうか?
お元気でお過ごしでしょうか?

今や、人生100年、といわれます。

100年はオーバーとしても、
90歳近くまで生きることは
珍しくなくなりました。

もし、あなたが70歳だとしても、
目の前に、20年30年という時間が
広がっているのです。

その時間をあなたはどんな風に生きたいですか。

健康で元気に過ごしたいと思いませんか。
パワフルに日々を生きていきたいと
思いませんか。

年のせいにして、
あきらめて生きるには
20年は長すぎます。

余生と呼ぶには、
20年は長すぎます。

あなたのやりたかったこと、
果たしきれない夢、
ライフワーク、
20年あればなんだってできます。

人生をあきらめないでください。
あなたの人生は、まだまだこれからです。

もっともっと、元気に、
もっともっと、パワフルに、
夢を追いかけて生きてください。

あなたもパワフルシニアとして、
充実した人生を生きていきませんか?