脳も基礎体力が大切?

アメリカのノートルダム教育修道女会の、75歳以上のシスター678人を対象とした通称「ナン・スタディ」。デヴィッド・スノードンが、19986年に開始した老化と脳の研究です。

この研究の対象となったシスターたちは、修道院に入るときに、それまでの自叙伝を書き、修道院では、同じような生活習慣や食事内容で暮らし、シスターとしての活動もすべて記録されます。シスターたちは、こうした記録とともに、身体的・精神的評価を受け、さらに亡くなった後は、脳を研究のために献体しました。

その一人、シスター・ベルナデッタは、亡くなった時には、脳にアミロイドβが大量に蓄積し、末期のアルツハイマー型認知症と同じ状態になっていましたが、認知症の症状は一切ありませんでした。

同様に、アルツハイマー型認知症のもう一つの有力な原因である神経原繊維変化が、大脳皮質全体に広がり、重度な病理所見を示していたシスターの30%が、認知症症状を示さなかったといいます。逆に、脳の病理所見は軽度であるのに、認知症の症状を示した例もあったとか。

こうした現象をスノードンは、ブレインリザーブ学説で説明します。これは、脳の基礎体力説ともいいますが、教育歴が高かったり、知的活動を続けていると、神経細胞の活動レベルが高く、シナプスが発達しており、脳内に、病的状況が発生しても、脳の活動が保たれやすい、という考えです。

近年、日本では、認知予備力という言葉で、同じような考え方が強調されています。脳を活発に使うことが、認知症の予防になると考えられているのです。

とはいうものの、いわゆる脳トレは、あまり効果が実証されていません。むしろ、趣味などの楽しめる活動がよいようです。将棋や麻雀など、対戦相手の思考を考える活動はとても効果的、とか、仲間とともに行うことが大切、とか言いますが、それにこだわるよりも、自分が心から楽しめることを選ぶのがよい、と思います。

ところで、ナン・スタディでは、前向きな考え方のシスターは長寿である、ということも確認されています。あるシスターは、認知症について、「私が神を忘れても、神が私をおぼえていてくださる」と語ったといいます。

神への深い信頼と、シスターとしての祈りと奉仕の日々は、一般人の私たちにはなかなか遠い世界ですが、世界がよきものであると信頼して生きること、クリスマス直前の今、改めて大切にしたいと思います。

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